べんべんリレーBLOG
第100回 生け花のすすめ
交流委員会委員 藤田温香
私の数少ない趣味の中に、「ゴルフ」と「生け花」があります。どちらも弁護士になってから始めたものです。
ゴルフは言わずもがな、老若男女、幅広い年齢層で行われているスポーツで、気候の良い時期などは(いわゆるゴルフ・ハイシーズン)、新緑や紅葉を楽しみながらプレーできることは魅力の一つです。ちなみに私のベストスコアは88です。(しかし、以後は鳴かず飛ばずの成績が継続中…)
今回は、私のもう一つの趣味である生け花についてご紹介したいと思います。
生け花にはいくつもの流派があり、京都ではおなじみ日本最古の流派と言われる「池坊」、新年に梅田の阪急百貨店のショーウィンドゥを飾る豪快な「嵯峨御流」、そのほか小原流や草月流など、様々な流派があります。
私の流派は「未生流」です。未生流は、江戸後期文化年間に流祖・未生斎一甫が創流した流派です。この未生斎一甫は、あるがままの自然がただ尊いのではなく、人の手を介することで更なる本質的な美を表現することこそ生け花の本義である!という「虚実等分」を称え、また、幾何学的理論に基づいた花形の中に東洋哲学を融合させることで、それまでの生け花理論を体系づけたようです。
難しい表現なのですが、要するに、未生流の特徴は、計算された美しさの黄金比の伝承なのです。(あるネット記事には「感覚ではなくきっちり知りたいという正確派にはおすすめです。」と紹介されていました。)
そもそも、なぜ突然、生け花を始めようと思ったのかというと、私の事務所では花を大切にする習慣があり、事務所のボスから「ゴルフばかりせずに、静かに集中力と精神を鍛えてきなさい!」というお達しがあったからです。
(加えて、「趣味は生け花」と言ったら、育ちが良さそうだと思われそう…などという下心もありました。)
このような経緯で始めた正確派「未生流」ですが、10年間コツコツとお稽古をして、この度、ついに未生流師範のお免状を頂戴することができました。
師範になると、毎週のお稽古だけではなく、年に何回か研究会があり、複雑な「型」を勉強します。いわゆる「お流儀」というもので、写真左が「体後添流し(たいうしろぞえながし)」という「型」です(私が生けたので、見る人が見たらすぐに下手なのが分かってしまいますが…)
また、研究会では、「型」を生けるだけでなく、未生流総家お家元の講義があり、未生流の理論を解説して下さいます。
ところで、未生流の理念である「あるがままの自然に人の手を入れることで、更なる本質的な美を表現する」という考えは、弁護士の仕事にも通じるものがあると、最近、思うようになりました。依頼者の生(なま)の主張や感情、これをそのまま書面にして相手方にぶつけては、対立がさらに過熱する場合があります。そこで、弁護士が入って、事件の本質を見極め、紛争解決のための道筋をつける(手を入れる)ことが必要であると思います。
10年前に生け花への道を示してくれた事務所のボスに感謝しつつ、仕事に、生け花に、精進していきたいと思います。(ボスは、自分ができなかった茶道も勧めますが、そこまでは時間不足です。)