べんべんリレーBLOG
第122回 りんご
企画委員会委員 宇野大輔
私は青森県出身なので、青森にまつわるお話をさせていただきたいと思います。
青森について何を連想するかと問われたときにほぼ間違いなく出てくる答えは「りんご」ではないかと思います。そのくらい青森とりんごは密接な訳ですが、その理由は圧倒的生産量です。生産量は全国1位で全体の60%強を占めます。2位の長野県が15%強で3位以下は数%なので、圧倒的シェアを有していることになります。
地元では、いたるところにりんご畑が広がり、同級生の実家がりんご農家を営んでいるということは珍しくないという環境でした。当時、知人の実家のりんごもぎを手伝うことも時々ありました。りんごの状態や天気の関係で一気に収穫をしないといけないタイミング等で駆り出されていたのだと思います。りんごもぎ自体はそれほど難しい作業ではないのですが、りんごの「ヘタ」の部分が折れたり取れたりしているものは「りんご」としての商品価値は失われてしまい、ジュースやジャム用のりんごとして扱われることになります。そのため「ヘタ」の部分には比較的神経を使っていたと思います。
一口にりんごといっても、世界には約1万5000種類、日本には約2000種類があると言われています。青森県内で一番生産量の多い品種は「ふじ」です。青森りんごの約半分がこの「ふじ」という品種と言われています。次いで「つがる」「王林」「ジョナゴールド」に加えて、「陸奥」「シナノゴールド」といった品種があります。また、甘味よりも酸味が強く、スイーツに使われる「紅玉」、切った後に塩水に浸さなくても変色しにくい「千雪」、世界で一番大きな品種の「世界一」など青森県内で生産されているりんごは約50種類と言われています。私が小学生だった約25年前は、リンゴの品種が印刷された下敷きが全員に配布され、自然とリンゴの品種を青森県民は刷り込まれて(?)いました。今でもそのような環境があるのか分かりませんが、多くの青森県民は主力品種の利きりんごができるくらい詳しいはずです。個人的にはワインや日本酒よりもりんごの味の違いは感じやすいと思います。品種ごとの100%りんごジュースがインターネット等で販売されているので機会がありましたら是非ご賞味いただければ味の違いを感じていただけるのではないかと思います。
青森りんごは明治初期の文明開化とともに伝わったとされています。そんな青森りんごにとって平成3年の台風19号は忘れられない災害となり、30年以上経った今でも語り継がれています。収穫間近だったためほとんどすべてのりんごが飛ばされてしまい、大きな損害を与えることになってしまいました。近年は大きな災害等はなく、安定した供給ができている一方で、後継者問題の波はりんご農家も直面しており、青森りんごの将来を担える人材確保が喫緊の課題となっているようです。
関西からは一番接点の少ない東北、青森に関するご紹介でした。