べんべんリレーBLOG
第125回 日常の小さな発見と彩り
業務改革委員会委員 福本有希
この冬、ある神社の近くを歩いていると、一部が緑、一部が赤い葉をつけた木に出会いました。寒さで徐々に赤くなる葉をつける木は、例えば遮蔽物があるとその部分は赤くならず一部の葉が赤く一部の葉が緑であることは珍しくはないはずですし、それまではその木が何の木かなどは全く気にしていなかったのですが、その日は不思議と目に留まり、思わず立ち止まりました。
何の木だろうかと眺めていると、通りがかった子どもが、「赤い実がついているよ」と教えてくれました。南天の実だったでしょうか。少し視線を変えれば赤い実にも気が付きますし、もしかしたら視界に入っていたかもしれませんが、葉ばかりに集中していたそのときはその一言にはっとさせられました。
そしてその近くにキンカンの木があることに気が付きました。緑の葉の中に黄色い実がたくさんついており、寒く澄んだ空気の中で今から思えばとても目立っていました。その前からその場所にキンカンの実をつけて立っていますが、日常的には特に気に留めることもなかったものです。大きな出来事があったわけでもないですが、赤い葉をきっかけに子どもの何気ない一言、さらに横に目をやるだけ、少しのことでこれまでと見える景色が変わりあたたかい気持ちになりました。
さらにぶらぶらと歩くと、近くに梅の木があり、少しだけ咲いているようでした。昨年末から今年の年始頃は暖かかったため、梅の花が咲いている地域があるとニュースで見聞きしていましたが、実際自分の目で発見すると、小さな驚きと喜びが混在した気持ちになりました。その後寒くなったので、この花たちは戸惑っているのだろうかと想像をめぐらせ、次にその梅の木に会えるのが楽しみになっています。
日々気にも留めないものでも、少しのきっかけから気づきがどんどんと広がり、そこから自分の気持ちに変化があります。第三者からすれば当たり前のことでも自分は気が付いていないことはたくさんあり、小さな気づきであっても自分の時間を彩ってくれます。昨今、効率化・有益さなどが重要視されるとしても、特に何気ない発見が一瞬のときや気持ちを豊かにしてくれる、少し忘れがちになることですがこういったことも大切にしていきたいと思います。