べんべんリレーBLOG
第134回 サスペンス映画のすすめ
出版委員会第5部会委員 田村瞳
突然ですが、サスペンスとミステリーの違いって何かご存じでしょうか?
サスペンスは緊張感、不安感、恐怖などの感情をメインに展開していくストーリー、ミステリーは謎解きや謎をメインに展開していくストーリーといわれています(諸説あり)。
火〇サスペンスは、緊張感や恐怖などの感情とともに、犯人は誰なのか(旅館の若女将の婚約者なのか、ベテランの仲居さんなのか?)という謎も展開しているため、サスペンスであり、実はミステリーでもあるということです。
私は、小さい頃からサスペンスやミステリー物が大好きで、同ジャンルの小説、アニメ、漫画、映画などをたくさんみてきました。今の仕事を選んだことも、少なからず、そういったことも影響しているかもしれません(実際の弁護士業では、コツコツと地道に頑張らなければいけないことが多く、ミステリーやサスペンスのような劇的な展開というものはなかなかないですが…)
派生してホラー作品も好きですが、ただ驚かせるようなジャンプスケアホラーはあまり好きではなく、ミステリーやサスペンスの中にホラー表現が含まれるものが好きです。
今回は、私が面白いと思ったサスペンス映画をご紹介いたします(他にも沢山あるのですが、長くなるので今回は3つに絞りました)。
まだまだ寒い日が続き、家で過ごす時間が長くなりがちな今、家に居ながら謎を追ったり、緊張感を味わえる作品を観て、一緒にハラハラドキドキしてみませんか?
「ゲット・アウト(2017年) 」
(概要)
低予算ながら全米で大ヒットを記録し、第90回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞の4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞したサスペンスホラー。
写真家として活動している黒人のクリスは、週末に恋人の白人女性ローズの実家に招かれる。身構えるクリスだったが、ローズは「父は黒人差別はしない。オバマに3期目があれば投票するような人だから」という。実際、クリスはローズの両親から手厚い接待を受け、さらに過剰なまでに黒人を持ち上げる発言に居心地の悪さを覚える。そんな中、ふとローズ家の使用人を見ると、使用人は全て黒人。この家、何かがおかしい。
(感想)
違和感の積み重ねで「早く逃げて!」と主人公に思う反面、怒涛の展開に目が離せなくなるという正にサスペンスホラーな作品。敵意がないことを強調したいがあまり、対象を過剰に持ち上げてしまうということは誰でもあるのではないでしょうか。ただそれは根底に「違い」というものを強烈に意識していることに他ならないのだと考えさせられます。
単なる白人対黒人という構造の話ではなく、むしろあらゆる「差別」というものの仕組みが単純ではないこと考えさせられる名作です。
「ゴーン・ガール(2014年) 」
(概要)
結婚5年目を迎えたニックとエイミー。二人はおしどり夫婦として知られていたが、結婚記念日にエイミーが忽然と姿を消してしまう。美しい人妻の失踪事件は全米の注目を集め、ニックもマスコミに取り上げられる。やがて「妻が失踪した悲劇の夫」を演じているかのようなニックの態度が批判を浴びるようになり、捜査ではニックの妻殺しの状況証拠ばかりが出てくる状況に。世間では夫こそが真犯人だと言われるように…彼は精神的に追い詰められていく。
(感想)
予想外のトリックや二転三転するストーリーにより緊迫感のある内容であるにもかかわらず、夫婦関係の悲哀や滑稽さも感じる新感覚サスペンスです。ジャンルはサスペンスですが、ブラックコメディでもあるという評価はまさにその通りだと思います。
夫婦とは何かを考えさせられる面白い作品ですが、恋人、夫婦、パートナーと一緒に見ることはあまりオススメしません。
「真実の行方(1996年) 」
(概要)
冬のシカゴで大事件が突如として起こった。大司教であるラシュマンが、惨殺されて発見されたのだ。その犯人はアーロンという、19歳の青年。彼は血まみれの姿で隠れているところを、警察に見つかった。アーロンは少年の頃より、大司教の侍者という役割を担っていたのだった。
弁護士は犯人だと分かりきっているアーロンの弁護を誰も引き受けない。そこに世間から注目を浴びることが大好きな弁護士マーティン(リチャード・ギア)が、自身が弁護を行うと名乗り出る。初めてアーロンと面会すると「大司教が殺された時、部屋には別の人物がいた」という重要な証言をした。しかし、その記憶は曖昧で、証拠とするには無理があった。マーティンは精神科医に、アーロンの失われた記憶を取り戻してほしいと依頼するのだった。
(感想)
ミステリー色の強いサスペンスです。弁護士であるマーティンに感情移入しながら鑑賞していましたが…物語は二転三転。最後も見事に裏切られました。
ネタバレになるので詳しく書けないのがもどかしいですが、予想を裏切られる快感が好きな方は是非。