べんべんリレーBLOG
第14回 外来語の氾濫について
出版委員会第3部会部会長 荒川雄次
少し前の朝日新聞によれば、「イライラするカタカナ語」の1位~10位は、次のとおりでした。
1位 コンピテンシー(competency)
「ある仕事で高い業績をあげている人の行動の特徴」
2位 インスタレーション(installation)
「さまざまな物体・道具を配置してある状況を設定し、その展示空間
全体を作品とする手法」
3位 インキュベーション(incubation)
「孵化」転じて「企業家支援」
4位 コモディティー(commodity)
「製品がメーカー間の差が出にくく、均一化し、価格競争になる現象」
5位 ダイバーシティ(diversity)
「多様性」
6位 サステイナブル(sustainable)
「持続可能な」
7位 コンソーシアム(consortium)
「複数の企業、団体などが共同目的でつくる提携組織・団体」
8位 オルタナティブ(alternative)
「二者択一の」転じて「既存のものに代わる選択肢」
9位 ステークホルダー(stakeholder)
「直接利害を受ける関係者全員」
10位 リテラシー(literacy)
「情報を解読する能力」
イライラするという以前に、自分が普段はあまり耳にしないような難しい外来語が、主にビジネスの現場でしょうが、世の中ではこんなに飛び交っているということにまず驚きました。
経済活動を中心に急速に国際化が進み、英語が世界の共通語となりつつある昨今の状況下においては、明治維新の頃のように、いちいち外国語の言葉を日本語に置き換えていたのでは間に合わないのかもしれませんが、いつの間にかよくわからないカタカナ語が氾濫しているというのは、ちょっと気持ち悪いですね。
最近、71歳の男性が、外国語の多用により内容を理解できず、憲法で保障された知る権利や幸福追求権を侵害され、精神的苦痛を受けたとして、NHKに対し、慰謝料の支払を求めて提訴したとの報道がありましたが、心情は理解できるものです。
フランスでは、フランス語を守り、文化の多様性を守るため、米国主導で英語が世界の言語の覇権を握ることに反対する活動があり、その働きかけによって、1992年の憲法改正で「共和国の言語はフランス語である」との一文が加えられたそうです。そこまではしないにしても、少なくとも、「尊敬する」を「リスペクトする」と言い換えたりとか、もともと日本語で十分表現できる言葉までわざわざ外国語で表現するようなことは、もう少し控えてもよいのではないかと思います。
偉そうなことを述べましたが、正直言うと、年をとるに従って、新しいことを覚えるのがだんだん面倒になってきているということもあります。そういう中で、「いつやるか?今でしょ!」とか、「やられたらやり返す!倍返しだ!」とか、普通の素朴な日本語がはやり言葉になっていたりすると、何となくホッとする今日この頃です。