べんべんリレーBLOG
第141回 正しい弁護士の見つけ方?
ホームページ委員会委員 伊藤文隆
先日、週刊誌に「正しい病院の見分け方10か条」という記事がありました。
読んでいて弁護士業務と重なる部分があると思いました。
1 患者からの質問を受け付けない
ネットなどの情報をみて患者が質問をぶつけてくることが多いが、質問を受け付けない医者は良くない。患者と二人三脚で治療を行い、患者の提案を受け入れるべき医師がよいとされていました。
最近は弁護士に相談する前にインターネットで調べてきた相談者が多いです。相談者は事件の当事者そのものですから、真剣に調べて相談に来ています。弁護士の考えが正しいとしても相談者の意見を聞こうとせず、自分の考えを押し付けていては信頼関係を築くことはできないでしょう。
2 「ストレスのせい」「気のせい」を多用する
病気の説明が丁寧でなく、すぐにストレスのせい、気のせいで片付ける医師はだめ、問診時にちゃんと話を聞いてくれる医師をさがそう、患者の話を聞かず、寄り添わない態度は患者に不安を与えるとされていました。
最初の相談時にメモも取らず、ざっと話を聞いて自分の経験から結論だけ言うのでは相談者は納得しないでしょう。相談者の話がまとまっていないかもしれませんが、根気強く話を聞いてあげないといけません。
3 セカンドオピニオンに否定的
自分だけで治療を完結したいと考えることはよくない、いやがる医師は治療方針にケチをつけられたと思い込む視野の狭い医師だとされています。
自分の依頼者がほかの弁護士の意見を聞いたり、事件の途中で他の弁護士に交代されることは気分のいいものではありません。しかし、事件の当事者は依頼者であって、弁護士ではありませんから、受け入れないといけません。
4 患者に対して安易に余命宣告する
安易に余命宣告する医師は信用できない。余命はデータに過ぎず、余命宣告による精神的ダメージが大きい。データがあっても参考程度で精神的ダメージの大きい話をするべきではないとされとされています。
弁護士の場合、よく勝つ確率は?保釈が認められる確率は?とか聞かれることがあります。聞かれたときにどのように答えるかいつも悩みます。医師の場合の余命宣告とはダメージの大きさは違いますが、安易にダメージの大きいことは言わない方がいいでしょう。
5 高齢の患者へ幼児言葉を使う
高齢の患者が理解できるようにゆっくり簡単な言葉で話しかけるのは親切な行為だが、相手を子ども扱いして、患者の話を聞く気がないといえるとされ、よくないとされています。
相談者や依頼者が高齢者の場合、ついやりがちです。しかし、これまでいろんな経験をされてきた大先輩です。高齢者に対する敬意を忘れず、話を聞く姿勢を忘れてはいけません。
6 薬を過剰に処方する
薬の数が2倍になると副作用は4倍になると言われている。薬を増やすのではなく減らすための生活指導を熱心にする医師が信頼できるとされています。
弁護士業務では費用をかけて手続きをしても、効果が得られない場合がよくあります。そんな場合、依頼者に費用を負担させるだけになりますから、費用対効果を考えないといけません。収入にはなりませんが費用のかからない方法も一緒に考えてあげないといけません。
7 すぐに高額な検査を勧める
高額な検査機器を導入すると費用がかかるので回収するために検査を勧め、必要のない検査もさせる医師はよくないとされています。
弁護士が費用を必要以上に高額にしたり、効果のない手続きをさせようとすることは避けるべきです。そのためには事務所の経費をできるかぎり抑える経営努力が必要です。
8 検査数や手術数の多さを売りにしている
手術をたくさんしている病院が信頼できる病院ではない、実はステージの軽い患者を選んで手術をしていたという場合があるとされています。経験が多い医師を選ぶのはいいが、妄言しないことが必要とされています。
弁護士業務も経験が多いと信頼できますが、量より質であり、どれだけ依頼者が納得しているかが重要だと思います。
9 トイレが汚い病院
経営者や医師が医療に向かう姿勢は院内の様子に反映される。きちんと管理されている病院には良い医師がいるとされています。
弁護士業務では、トイレはもちろんですが、記録、資料の管理、預り金の管理などが指標になると思います。
10 新しいものに消極的な病院
ホームページがそっけない、オンライン診療を導入しない病院などは患者ファーストとはいえず、よくないとされています。
相談者、依頼者にメリットのあるものは導入していくことが必要です。
以上、良い医師と良い弁護士は共通する部分が多いと思います。どちらも患者、依頼者、相談者からよく話を聞き、寄り添うことが必要なんだと思います。