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トップページ > べんべんリレーBLOG一覧 > 第145回 「行旅病人及行旅死亡人取扱法」について

べんべんリレーBLOG

第145回 「行旅病人及行旅死亡人取扱法」について

出版委員会第5部会部会長 荒川雄次


 驚くほど法律をテーマとして扱ったものが少ないべんべんリレーBLOGですが(!?)、今回は「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律について触 れてみたいと思います。そもそも読み方がわからないという声が聞こえてきそ うですが、「コウリョビョウニンオヨビコウリョシボウニントリアツカイホウ」と読みます。略称は「行旅法」(コウリョホウ)です。
 明治32年に制定された相当古い法律であるものの、まだ現役で活用されて おり、直近では令和5年にも改正がありました。カタカナ交じりの条文のまま、「電気通信回線ニ接続シテ行フ自動公衆送信」としてインターネットのことが書き込まれており、時空を超え、遥か遠い明治時代にタイムスリップして法律を書き直したような、不思議なロマンを感じます。

 行旅法は、行旅病人(旅行中、重病にかかって救護してくれる人がいない人)や、行旅死亡人(旅行中、または住所・居所または氏名が不明のまま、死亡して引き取ってくれる人がいない人)の取扱いを定めた法律ですが、後者の死亡の場合、所在地の市町村は死体を埋葬(いわゆる土葬)または火葬しなければならないものと定められています(行旅法7条1項)。
 そして、住所・居所または氏名が不明のまま死亡した場合には、当該行旅死 亡人の状況等、本人の認識に必要な事項を公署の掲示場に告示し、公告しなければならないのですが、上記法改正により、インターネットを利用して公衆の 閲覧に供しなければならないこととなりました(行旅法9条)。
 市町村が行旅死亡人の取扱いに要した費用については、当該行旅死亡人に遺 留の金銭または有価証券があればそれを充当し、足りない場合は相続人、当該 行旅死亡人の扶養義務者の順で負担するものとされています(行旅法11条)。 また、市町村は、当該行旅死亡人の遺留物品を保管しなければならないのですが、滅失もしくは棄損のおそれがあるときまたはその保管に不相当の費用もしくは手数を要するときは、売却または廃棄することができるものとされています(行旅法12条)。さらに、前記9条の公告から60日経過後に費用の弁償を得られなかったときには、遺留物品の売却代金を費用に充当することができるものとされています(行旅法13条1項)。

 以上のように、旅行中、または住所・居所または氏名が不明のまま、死亡し た人については、行旅法が適用されるのですが、そのような人ではなくても、広く、死体を引き取って埋葬または火葬を行う人がいないときには、墓地、埋 葬等に関する法律(「墓埋法」ボマイホウ)などと略称されます。)が適用され、同様の取扱いがなされます。すなわち、死亡地の市町村長が、埋葬または火葬を行わなければならないものとされ、埋葬または火葬を行ったときは、その費用に関し、行旅法の規定を準用するものとされています(墓埋法9条)。

 そのほか、身寄りのない死亡者の埋葬または火葬を扶養義務者以外の第三者 が行った場合については、一定の要件の下、生活保護法による葬祭扶助が実施 されることがあり、遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、それでも不足す るときは遺留物品を売却してその代金にこれに充てることができる旨が規定さ れています(生活保護法18条、76条1項)。

 身寄りのない死亡者が死亡したときに所持していた遺留金品について、葬祭 費用等の必要な費用に充てたうえで、なお残るものがある場合には、相続人が不存在(不分明)であれば、家庭裁判所への申立てにより相続財産清算人を選任してもらうことが考えられますが (民法951~959条)、相続人の存在が判明しているが引き取りを拒絶していたり、その所在が不明であったり、相続人が不存在(不分明)だが遺留金が少額で相続財産清算人の選任に伴う予納金が出しにくいときなどには、弁済供託制度を利用すること(民法494~498条)も考えられます(厚生労働省・法務省「身寄りのない方が亡くなられた場合の 遺留金等の取扱いの手引」ご参照)。   
 約5年前、30数年前に死亡した身寄りのない人について、某自治体が申し立て、相続財産管理人(現行法の相続財産清算人)に選任されたことがありました。相続財産は60数万円の遺留金だけでしたが、自治体の担当者によれば、その頃に裁判所の運用が変わり、予納金が低額化したから申し立てたとのことでした(実際にこの件での予納金はゼロでした。)。時空を超え、30数年前の懐かしい昭和時代から遺留金がタイムスリップしてきたかのような、奇妙な親近感を覚えました。

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