べんべんリレーBLOG
第151回 ひな祭りの思い出
財務委員会副委員長 小林理絵
3月2日に、娘のお雛様をやっと出しました。お内裏様とお雛様と三人官女の2段でも出したり仕舞うのに気合を入れないとなかなかできません。
今年はもう出さずにおこうかと挫けそうになりましたが、ふと、娘と一緒に飾って眺められるのはあと何年あるだろうと思うと寂しくなり(まだ小学生です)、一気に箱を開けました。
去年の写真を見て並びを確認しながら一つ一つお道具を持たせます。完成すると、やはり華やかです。
せっかく出したお雛様を1日で片付けるわけにはいかないので、我が家のお雛様は旧暦と言い張って、晴天の日曜日がくるまでしばらく置いていました。
お雛様といえば、色々なお人形があり、髪形も着物も素材もお道具の模様も、豪華なのもシンプルなのもどれも素敵ですし、選ぶときはとても迷いました。旅先で豪華な7段のお雛様が飾られているとつい見とれます。
各地で色んな風習があるのだと思いますが、私には父の田舎(難読地名で有名な宍粟市です)のひな祭りが今でも一番です。清流・揖保川の流れる、とても緑豊かな場所です。
ひな祭りが毎年4月3日、ちょうど春休み中の行事でしたので、子供のころは毎年帰省して、父の田舎の行事に参加していました。
その辺りでは、女の子のいる家では、縁側から見られるように外に向けてお雛様を飾ります。その各家を子供たちが手提げ袋を持って回ります。そしてお雛様の前で「雛さん見せて、豆おくれ~」と大きな声で呼びかけます。
すると、お家の方が、来た子供みんなにお菓子を配ってくれます。どの家も7段の立派なお雛様を飾っておられ、それぞれ違いもあったのだと思うのですが、どうにも子供だったのでお菓子に夢中でお人形のことは覚えていません。
子供同士、道ですれ違うと、あそこの家でこれをもらえると見せ合って、どの家にお雛様(=お菓子)があるのかを教えてもらいます。家の周囲は田んぼに囲まれて家と家は離れていますが、お菓子欲しさに普段行かない遠くまで歩いて行きました。
手提げ袋がお菓子でいっぱいになったところで家に帰ります。
父の実家には盆や正月には親戚が大勢集まり、子供たちで自然豊かな山や川で遊んだのが良い思い出ですが、その中でもひな祭りが一番楽しい記憶として残っています。
地元に住む従弟と一緒にいるとはいえ、よそ者にもかかわらず、初めて行く家々に歓迎してもらったのが印象的だったのかもしれません。
この行事は、どこでも豆まきと同じようにやっていることかと思っていましたが、その近隣の出身の方に偶然会ったときにその話をしても通じなかったので、どの範囲で行われているのか詳細は分かりません。
ただ、今回調べてみたところ、大阪の岸和田の一部にも全く同じ行事があり(3月3日に行われている点が違いますが)、懐かしい「雛さん見せて豆おくれ~」のセリフまで同じという事を知りました(「雛あらし」というそうです。嵐?荒らし?子ども達が嵐のようにやってくるからでしょうか)。
娘にはあのひな祭りを体験させてやったことがないのを残念に思っていましたが、よく考えるとハロウィンの「トリックオアトリート」と同じです。
雰囲気は全く違いますが、子供がお菓子をもらって回るイベントは、いつの時代でも、国が違ってもあるのかと思うと微笑ましいです。
懐かしい思い出でした。