べんべんリレーBLOG
第22回 ビルの高さ
不動産管理委員会委員長 廣瀬元太郎
不動産管理委員長ということで、ビルの高さの話をひとつ。
いよいよ、天王寺駅前のあべのハルカスが平成26年3月開業ということになる。ご存知のとおり、このビルは、現在高さ最高の横浜ランドマークタワーを抜いて、高さ日本一となる。ビルの高さ日本一の更新は20年ぶりということで、この20年間の日本の停滞の表れかもしれない。
ちなみに、第2位となる横浜ランドマークタワー以下は、
第3位 りんくうゲートタワー(泉佐野市)
第4位 大阪府咲洲庁舎(大阪市)
第5位 ミッドタウンタワー(東京都港区)
第6位 ミッドランドスクエア(名古屋市)
第7位 JRセントラルタワーオフイス棟(名古屋市)
第8位 東京都庁(東京都新宿区)
と続く、ビルの高さでは、関西中部勢は東京を押さえて健闘しているようである。昭和50年代ころの高層ビルの象徴であった西新宿のビル群は、新宿三井ビルが15位とかなり後退している。
世界に目を向けると日本のビルは低い。なんとなく予想ができるが、世界の高層ビルランキングは、中東と中国(中国文化圏)の独壇場である。
第1位 ブルジュ・ハリーファ 162階(アラブ首長国連邦)
第2位 アブラージュ・アル・ベイトタワーズ 95階(サウジアラビア)
以降、都市名だけ挙げると、
3位 シカゴ、
4位 台湾、
5位 上海、
6位 香港、
7位 シカゴ、
8位 クアラルンプール、
9位 南京、
10位 ニューヨークと続く。
10位のビルが、ニューヨークのエンパイヤステートビルである。摩天楼といえばニューヨークという印象だが、ニューヨーク最高峰が世界10位なのだ。
日本最高峰のあべのハルカスは、世界では80位になってしまう。先ほども述べた通り、世界の中では日本のビルは低いのだ。
さらに、各都道府県で一番高いビルのリストもインターネットで調べられる。
大阪以外の近畿圏を挙げると(大阪は、あべのハルカス)、
兵庫県 シティタワー神戸三宮(マンション)54階、190m
京都府 日本電産本社(オフィス)21階、100.6m
滋賀県 大津プリンスホテル(ホテル)38階、133m
和歌山県 プレジデント椿(マンション)28階、99m
奈良県 ホテル日航奈良(ホテル)10階、46m
(興福寺五重の塔、50.8m)
奈良県で一番高い建物が10階建てというのには結構びっくりする。これは、全国最低である。そして、それよりもビルではない五重塔が高いことにもびっくりする。
やはり、古都の景観保全ということだろうか。高層ビルが建ちならぶ奈良の街というのは、全くイメージに合わない。そして、高いビルのない奈良が、前近代的だということもない。景観を保全するということは、ビルの高さ比べよりも、進歩的な事なのだ。このように考えてみると、日本のビルが低いのは、すでに国家が成熟しており、高層ビルを建てることが国力や進歩の象徴と考えられていないことがその理由であり、別に残念なことではないのだ。