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第31回 「法律事務の手引 全訂第9版」 好評発売中です
出版委員会第2部会委員 仁張望
私の所属する大阪弁護士協同組合出版委員会第2部会では、大阪弁護士会業務改革員会との共同でプロジェクトチームを立ち上げ、昨年より「法律事務の手引 全訂第8版」(2010(平成22)年発行)の改訂作業を行っており、ようやく2014(平成26)年3月に「法律事務の手引 全訂第9版」を発行することができました。現在、好評発売中です(*1)。大阪弁護士会の会員の皆様にはすでに3月下旬に配布されておりますが、大阪弁護士協同組合の書籍販売サイト(http://www.osakalaw.jp/books/01.php)でも4月から販売を開始しております。
そこで、本記事のほとんどを「法律事務の手引 全訂第9版」の広報に割くことにして、おまけ程度に出版委員会についてお話しします。
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法律事務に関する類書はありますが、本書「法律事務の手引」の特色は次の通りです(*2)。
(1)委任状や期日請書などの通常の訴訟に用いる書式はもちろん、保全・執行・刑事など法律事務の幅広い分野にわたる書式集が付属のCD-ROMに収録されている
(2)1981(昭和56)年発行の初版から第8版までの旧版の情報の蓄積があり、多数の大阪弁護士会所属の弁護士・ベテラン事務員の方々の手を経て作成されている
(3)破産等の債務整理分野を除き法律事務の主なトピックスが1冊に集約されている
法律事務の初心者である事務職員の方が法律事務の基本を習得するためにはじめから読むことはもちろん、中堅・ベテランの事務職員の方の調べ物にも、さらには実務経験の少ない若手弁護士が裁判所に提出する書式や添付資料を確認する場面などでも、十分ご活用いただけるものと思います。
本書の旧版との大きな違いとしては、家事事件手続法(2013(平成25)年1月1日施行)に対応して家事事件の章を大幅に改訂されたことと、日弁連事務職員能力認定試験の出題範囲を意識して不動産登記申請に関する章が新たに加わったことが挙げられます。他の章についても、各編集担当者が旧版の記載を全て見直し、さらには原稿提出期限直前に公表された2014(平成26)年4月1日からの郵便料金改定に伴う裁判所(大阪地裁)への予納郵券額の変更にも対応するなど、最新の情報を取り込むよう努めました。
私は弁護士登録以来、保全事件の取扱いが比較的多かったこともあり、改訂作業においては民事保全の章を主に担当しましたが、ほかにも数章にわたり編集に関わりました。本書では法律事務の初心者の方でも読了することができるよう、難しい議論やマニアックな手続については掲載を回避しているものの、プロジェクトチームや編集委員での議論では高度な話題が多数あり、ベテランの事務職員の方々からも実務的に有用な意見を多数頂きました。改訂作業に共同参画いただいた大阪弁護士会業務改革員会の皆様、ベテラン事務職員の方々には、本書改訂版の刊行に多大なご助力を頂いたというのみならず、私自身にとっても法律事務手続に関する知識を再確認する大変良い機会を頂いたことに深謝しております。
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このように、大阪弁護士協同組合出版委員会第2部会では、弁護士業務に関連する書籍の企画・編集・出版に携わることができ、日々の弁護士業務とは少し趣の異なる活動に取り組むことができます。とくに、自ら関わった書籍ができ上がったときの達成感は何物にも代えがたいものです(*3)。大阪弁護士会所属の弁護士の方々の多くが協同組合に加入されていることと思いますが、興味のある方は是非とも協同組合にご参画いただき、あるいは弁護士業務に有用な書籍の企画を出版委員会に持ち込んでいただけると幸甚です。
■ 脚註 ■
(*1) どんなに出来が悪かったとしても、わが子はかわいいし、自分で作った料理はおいしいし、私が関わった書籍は素晴らしいので、まだ刊行から間もなく評判を聞いたことがありませんが「好評」と本文中で断言しています。
(*2) ほかに、主に法律事務所で用いられることから書店等への大規模な流通を予定せずISBNを取得していない、本文原稿の改訂に力点を置きすぎて表紙デザインを変更する意欲が低く旧々版(第7版)から同じデザインの色違いである、といったややネガティブな特徴もあるのですが、これについては欄外註の記載のみに留めることにします。
(*3) このブログ記事を書いている1か月半ほど前、通常業務の合間を縫って、原稿の最終確認締切に追われて作業していた疲労感も何物にも代えがたいのですが、それは書籍ができ上がった瞬間にほとんど忘却しました。