べんべんリレーBLOG
第45回 危険をはらむアドバイス
貸付関係委員会委員長 田仲美穗
聞くところによれば、外国のある大学の研究結果として、夫婦間では、求められていないアドバイスが最も有害で、結婚生活の満足度が低くなることが判明した、のだそうです。
これはよく分かります。
例えば、私が妻に、何年も使ってないさびた自転車を捨てた方がよいのではないか、とアドバイスしたとします。妻は私に、そのようなアドバイスを求めていません。それゆえに、もし妻の機嫌がよければ「そのうち」と婉曲に拒否し、もし機嫌が悪ければ「なんで捨てなあかんの、もったいない」と明瞭に拒否することでしょう。
例えば、喫煙者であったころの私に、妻が煙草止めたらどう、空気は悪くなるし、お金は無駄やとアドバイスしたとします。そんなアドバイスを求めていない私は、余計なお世話だ、高い税金払って、阿片窟みたいな喫煙所に押し込められて、それでも我慢して煙草吸って、心の平安を保ってるんだ、と反論したことでしょう。
いずれにしても、なにも生まない、なんの共感もなければ、なんの進歩もありません。お互い気分を害するだけです。なので、こういうことをしてはいけない、というのはよく分かります。
ところが、他方で、同じ研究の結果として、アドバイスが少な過ぎる場合、夫が苦しむということも判明したのだそうです。
夫だけが苦しむことが多い理由は、妻は親族や友人など夫以外の支えを広く持っているのに対し、夫は妻だけを支えとしていることが多いからだそうです。こちらはあまりよく分かりませんが、世の中にはそういうこともあるのかもしれません。
で、問題は、初めの研究結果はアドバイスをすべきでないとし、後の方はアドバイスをすべきだとしているため、少なくとも、どこかでは、あるいはなにがしか、結論が衝突している、ということではないかと思います。はて、実は、ここが本当に大事なところかもしれません。衝突なんてないのかもしれないし、衝突しっぱなしでよいのかもしれないし、あるいはなんとか調整することがよいのかもしれません。みなさんは、どうされるでしょうか。