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トップページ > べんべんリレーBLOG一覧 > 第50回 険しさを保つ

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第50回 険しさを保つ

保険委員会第三分野部会委員 岡本大典


語源やら由来やらといったものが好きです。
例えば,「昼下がり」です。これって,何が下がるのでしょう?太陽?でもそれなら「日下がり」では?疑問に思って「昼下がり」を辞書で引いても,「正午を少し過ぎた頃。午後二時頃。」(広辞苑より)と意味が書かれているだけで,何が下がるのかは書かれていません。こうなると調べたい衝動に駆られます。
調べた結果,ポイントは「下がる」にありました。「下がる」には,「きまった時間よりあとになる。おくれる。時が過ぎる。」(出典同じ)という意味もあって,昼が下がる,つまり昼を過ぎた時間帯のことを「昼下がり」というわけです。下がるのはそのまんま「昼」だったのだと知って,なんとなく得した気分になったりします。

さて,私は保険委員会の委員なので,「保険」という言葉の話をしましょう。「保険」という熟語は,「険しさを保つ」と読めてしまい,リスクを分散して安全策をとるといった意味がどうも読み取れません。どういうことなのか,調べてみました。
「保険」はもちろん中国語から来た単語で,初めて用いられたのは,今から1700年以上前,3世紀末に完成した「魏書」巻16所収の「鄭渾伝」のようです(ちなみに巻30には邪馬台国や卑弥呼が登場する部分があります。「魏志倭人伝」と呼ばれているものですね。)。
鄭渾は後漢の官僚で,あるとき梁興という人物の反乱に悩まされていました。そこで,「要害の地に避難しましょう。」と助言を受けるのですが,鄭渾はこれを断ります。「梁興に従っている者も,脅されて従っているだけだ。恩と信義によって説得して,降伏への道を開いてやるべきだ。」と述べた後,鄭渾はこう言います。

「而保険自守,此示弱也。」

ここでは,「保険」とは,要害の地に頼って立てこもることを意味しています。「険」は,単に険しい場所ではなく,「険しくてほかから攻められにくい場所」という意味で使われています。「要害の地に立てこもって守りを固めることは,自分の弱さを示すことになる。」と鄭渾は言ったのです。要害の地は,立てこもる方からすれば安全な場所ですから,安全策をとる,といった趣旨がようやく垣間見えてきました。
そして,「保険」しなかった鄭渾は,「梁興の配下を捕らえた者には恩賞を授ける。」と宣伝すると同時に,梁興の配下を説得して降伏を勧めるという恩と信義の両面作戦で,やがて反乱の鎮圧に成功したのでした。

「保険」が”insurance”の訳語として使われるようになったのは,「鄭渾伝」から約1600年が経った19世紀のことです。ドイツ人宣教師で清朝末の香港に駐在していたヴィルヘルム・ロブシャイドという人物が,1866年から1869年にかけて,「英華字典」という英語‐中国語の対訳辞書を刊行します。ここで初めて,”insurance”の中国語訳として「保険」が登場します。
日本はこの頃ちょうど明治維新のさなかで,「英華字典」をはじめとした英語‐中国語辞書をさらに和訳する形で西洋語が流入していきます。「保険」は和訳の際変更が加えられず,そのまま”insurance”の和訳として定着しました。

普段何気なく使っている言葉にもドラマがあります。調べてみると面白いですよ。

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