べんべんリレーBLOG
第61回 正しい法律事務所の開設方法
出版委員会第2部会委員 仁張望
私は、7年半勤務した高麗橋中央法律事務所を退所し、本年(2016年)4月1日、独立開業しました。そして、このブログ記事を書いている4月8日、私の後ろで執務デスクの組立作業が行われています。このデスクが組み上がるまでの1週間、私は簡易の折りたたみ机で契約書チェックや書面作成をしていました。
どうしてこんなことになったのかを振り返りながら、正しい法律事務所の開業の仕方をここで考えてみたいと思います。
勤務弁護士が開業を決めてから事務所の開設まで、2~3か月で十分可能です。しかし、事務所の開設地域、資金計画、顧客層の検討など、じっくり考えようと思えば半年から1年程度の時間をかけるべきです。
とはいえ、時間をかけたからといって、うまくいくとは限りません。事務所開設の3か月前くらいに事務所の賃貸借契約締結予定というスケジュールだったところ、物件のオーナーが契約締結直前で突如賃料を坪あたり1,000円上げてきたり、オーナーさんが(※自粛)だという噂を耳にしたりして、交渉が頓挫することもある(*1)のでご注意下さい。
もちろん、自分の賃貸借契約書のリーガルチェックも忘れないようにしましょう。
さて、賃借物件(*2)を決めたところで、内装工事や電話回線の契約など、時間の要するものから先行させ、順に開業日に間に合うように様々な契約を進めていきます。そのような色んな業者さんとの接点のない弁護士でも、先輩弁護士に良い業者さんを紹介してもらったり、多数業者を取りまとめて対応して窓口になってもらえる業者を利用し、条件・費用・方向性などを相談すれば、何とかなるはずです。
とはいえ、内装のパネルの素材や色調の細部にもこだわって注文を出し続けると、開業予定1か月半前に突如、依頼していた業者に逃げられて他の業者に依頼することとなり、スケジュールが厳しくなることもある(*3)のでご注意下さい。
さて、新事務所開設の日を決めたら、その日の前後に一気に引越作業をします。新旧両方の事務所に仕事の資料やパソコンなどがあると余計にややこしくなるので、一気呵成に荷造りをし、新しい什器備品の入った新事務所に運び込みます。
とはいえ、スケジュールが厳しくなって事務所開設1週間前に内装工事が始まっていたりすると、事務所への什器備品搬入と引越作業と複合機設置とが同じ日になって現場で大混乱になったりすることもある(*4)のでご注意下さい。
そして、スケジュールの都合で、執務机の天板が開所から1週間後に来たりする(*5)のでご注意下さい。
■ ■ ■
(*1) 実際にどこかであった話。
(*2) 自己所有物件(自社ビル)で事務所をされる方や、自宅で開業される方、公園で開業することを検討する方もいらっしゃるかも知れませんが、多数が賃借物件での事務所開設となると思いますので、ここでは物件を賃借することを前提に話を進めます。
(*3) 実際にどこかであった話。
(*4) 実際にどこかであった話。
(*5) 実際にどこかであった話。