べんべんリレーBLOG
第77回 「器用貧乏」を極める
出版委員会第4部会委員 成末奈穂
子どもの頃から、大抵のことは、特に苦労なく人並み以上には出来ました。と言っても、例えば、陸上競技(100メートル走、走り幅跳び)や水泳(クロール、背泳ぎ)であれば、田舎の市の陸上・水泳記録会で6位以内に入賞する程度、絵画であればコンクールで受賞する程度で、いずれも、ずば抜けた能力を発揮したわけではありません。また、要領がいい方だったので、学校の試験勉強は、文字通りの「一夜漬け」で、それなりの成績をおさめていました。
大した努力をしなくても、何とか形になってしまうことに味を占めてか、集中して1つのことに取り組む姿勢に欠ける私は、大学受験の受験勉強は、全くの不完全燃焼のまま終わりました。
そんな私でも、司法試験だけは、集中して1つのことに取り組み、結果を残せた、と胸を張って言えます。弁護士になって感じるのは、この業界には、独自の美意識や理念を持って、1つのことに集中して取り組み、結果を残す能力を持っている人が多いことです。このリレーブログの過去の投稿をご覧いただいても、そのことは一目瞭然です(参照:「第41回 重症化する趣味」、「第73回 重症化している趣味2題」等)。
一方の私は、相変わらず、1つのことを「極める」ことの難しさを感じています。
まず、弁護士業です。既に弁護士16年目。新人弁護士の頃から、尊敬する先輩弁護士に、「オンリーワン(その分野を専門にしている、あるいは地域の弁護士が、自分一人である状態)かナンバーワン(その分野を専門にしている弁護士、あるいは地域の弁護士の中で、自分が一番である状態)を目指せ」と、頻繁に言われ、かつ、私自身もそれを実感していました。しかし、残念ながら、そのどちらにもなれていない現状を認めざるを得ません。また、結婚・出産という道を選択したため、弁護士業と主婦業の掛け持ち状態ですが、弁護士業、主婦業のいずれも、「極める」とは程遠い状況です。とはいえ、弁護士業、主婦業のいずれも、「人並み以上にはできている」と、自分では前向きに思っています(苦笑)。
こうなったら、いっそのこと「器用貧乏」を「極める」ことにしようか、と開き直りました。最近では、とりあえず、小学生の上の娘に、走る速さ、泳ぎ、ピアノ、テニス等、あらゆるジャンルで負けないように頑張ろう、と思っています。短距離走で負けるのは時間の問題だろうから、せめて、泳ぎ、ピアノ、テニスは負けないように、私も練習しなければと思っています。
息子さんの大学受験をきっかけに、専業主婦だった方が勉強し直して、東京大学に合格されたという記事を読みました。実は私も、中・高校生時代には面白いと感じなかった数学が、大学生になって家庭教師をしているときには面白いと感じました。もう一度、娘と一緒に勉強。いいかもしれません。「おいおい、少しは弁護士業や主婦業を極めることを考えたらどうですか。」と、自分で自分にツッコミを入れつつ、筆を置くことにします。