べんべんリレーBLOG
第89回 一歩一歩進んでいこう
特約店委員会副委員長 中島裕一
高校生の頃から、吹奏楽部に所属してクラリネットを吹いています。現在も、市民楽団を2つほど掛け持ちし、休日の趣味として細々と活動を続けています。
ところで、「趣味でクラリネットをやっています」という話をすると、「弁護士って六法を暗記しているんですか?」という質問と同じくらいの頻度で、「クラリネットこわしちゃったの歌のやつだよね」と言われます。しかし、諸説ありますが、実は、この童謡ではクラリネットは全く壊れていないのです。
「クラリネットをこわしちゃった」といえば、お父さんからもらった大事なクラリネットなのに、壊れて出ない音がある…ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない(何の音も出ない…)、という歌詞に続き、「オ パキャマラド パキャマラド」と謎の掛け声が流れる童謡で、どなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この謎の掛け声「オ パキャマラド」はもともとフランス語で「一歩一歩進んでいこう」という意味のようです(歌詞の意味には諸説あり、俗説の一つではあります。)。つまりこの歌は、息子が大事なクラリネットを壊してしまって困っているという歌ではなく、クラリネットがなかなか上達しない息子に対し、お父さんが「一歩一歩進んでいこう」と励ましている歌で、実はクラリネットは全然壊れていないのです。余談ですが、クラリネットはもともとシャリュモーという民族楽器を改良したものなので、サックス等の近代楽器と比べると段違いに息が入りにくく、壊れてるんじゃないのかと疑う初心者は結構います。
今年に入ってから、暗い話題が続きます。
今年予定されていた、私の所属する楽団の演奏会や発表会はいずれも延期・中止となりましたし、楽団の仲の良いメンバーで通い詰めた居酒屋は潰れてしまいました。練習は未だに手探り状態で、広い講堂を借りて1メートル以上離れて合奏したり(周りの音が聞こえず本番で失敗した嫌な記憶が蘇る)、30分ごとに換気してなんとか対応しています。おそらくこれから、種々のスペースにおける「定員」の概念が変わるので、練習場所の確保も難航するのでしょう。
しかし、今年は思いがけない発見もありました。いわゆる「オンライン飲み会」をやってみると、家が遠かったり、車で練習に来ていたり、楽器が重くて動きにくい方の参加率が良く、今まで飲み会の参加率が低かった方と交流を図れたり、「オンラインアンサンブル」「オンライン合奏」に挑戦している方がいて、現代の技術があればここまでのことができるのかと感動しました。練習日数や時間が減ると、1回1回の演奏にさらに集中しようと思えます。
暗い話題を挙げるとキリがないですが、こんな状況だからこそ、明るいことにも目を向けて、一歩一歩毎日を過ごしたいと思います。オ、パキャマラド、パキャマラド・・