べんべんリレーBLOG
第98回 動画配信系のお仕事考
財務委員会委員 泉本和重
ネット環境が当たり前の世の中になり、時代の変化に伴って、ネットを通じた配信系のお仕事も増えてきました。
今やサラリーマンとは比較にならない高収入のYouTuber(ユーチューバー)が生まれ、また将来なりたい職業ランクキングで上位に入り込む時代となり、動画配信系のお仕事が、単なる趣味や副業ではなく、1つの職業として認識されるようになりました。
そこで、もし、友人や未成年の子から、動画配信系の仕事をしたいと相談されたら、どう向き合おうか、と思ったのです。
最近は「ライバー」なる仕事も生まれました。YouTuberは主に編集した動画を投稿し、動画の再生時の広告収入を得るのですが、ライバーは主に生配信を行い、その広告のほか、視聴者からの投げ銭といわれる課金から収入を得る仕組みです。
さて、これらの動画配信系の仕事といっても、配信の仕組みは枠組みだけのプラットフォームなので、配信の内容は配信者の判断に委ねられています。
しかし、仕事として配信する以上、視聴者数(広告収入)や、視聴者の嗜好への合致(課金)に意識を向けねばなりません。すなわち、より多くの視聴者を獲得できる内容を、あるいはより視聴者が課金したい内容を意識した配信を行うことになります。
では、配信者は、視聴者に何を提供できるのでしょうか。
音楽や映像はもちろん、情報や教育系の配信であれば知識や技術を、「〇〇してみた」といった実験や経験のほか、ゲーム実況など、エンターテインメント性そのものを配信することもあります。
生配信の中では、視聴者とのコミュニケーションも重要となります。投げ銭といった課金の仕組みは、視聴者という経済的な支援者を獲得する必要もあり、そのために視聴者とどのような関係を構築するのかも考える必要があります。
このような多岐にわたる配信の内容を見る限り、配信者が提供できるものには、大きく分けて2つの要素があります。
1つ目は、知識や技術、音楽など、配信者が集めたり作ったりした外部的な要素、2つ目は、コミュニケーション能力や配信者の魅力といった、配信者自身の内部的な要素です。
もちろん、どちらかに割り切れるものでは無いものの、自作の音楽を配信するYouTuberのように、前者に特化する場合もあれば、雑談が魅力のライバーのように、後者に特化する場合もありますが、後者の要素を強めるほど、芸能人やアイドルのような性質が強くなります。
動画配信系のお仕事は、一見簡単に収入が得られるように思えたり、有名になったりと華々しい印象もありますが、何を配信するか、すなわちどんな要素を提供するのかにより、全く違った仕事になるのが特徴と言えます。また、広告収入のみか、投げ銭のような課金の仕組みがあるか否かで、視聴者の確保の方法も変わります。
動画配信系の仕事に就きたいと相談されたとき、一体何をしたいのか、またどうやって視聴者や支援者を確保するのか、収入と引き換えに提供する内容と向き合うのが大事なのだと思い至る次第です。