人質司法が続いている中で、それを変えていくのは弁護実践しかありません。確かに、ここ数年の間に保釈・勾留に関して、判例上も実務上も改善の兆しは見えるようになりましたが、さらにこの傾向を推し進めなければなりません。勾留を認めさせない闘いの他、延長を認めさせない、接見禁止を認めさせない、また、早期の保釈を勝ち取る等々の弁護実践が重要です。
本書は、そのための一助として「迅速性」「具体性」をいかに確保し、「勾留の理由や必要性がないこと」を認めさせ、勾留させない、勾留された場合に効果的な準抗告等の申立て方、そのための聴き取りのツボ、集めるべき添付資料を一覧できるように・・・という趣旨で作成されています。
第1部 マニュアル編
第1章 人質司法からの解放~勾留に対する全件不服申立運動の趣旨~
1 人質司法という現実
2 広島弁護士会,さいたま弁護士会の取組み
3 身体拘束に関する平成26年最高裁決定
4 迅速性と具体性を目指して
5 身体拘束からの早期解放のためにともに闘おう
6 身体拘束の流れと弁護活動
第2章 身体拘束からの解放
第1 勾留
1 勾留の要件
2 罪証隠滅の相当理由について
3 逮捕手続の違法性の指摘
4 一罪一勾留の原則との関係
5 身体拘束からの解放のために収集を検討すべき資料
第2 勾留させないための活動
1 勾留請求前の検察官への申入れ
2 勾留請求後の裁判官への申入れ
3 留意点
4 勾留請求が却下された場合
第3 勾留による身体拘束からの解放のための活動
1 勾留決定に対する準抗告
2 特別抗告
3 勾留延長に対する準抗告
4 勾留取消請求
第3章 その他検討すべき準抗告等の手法
第1 接見等禁止決定について
1 接見等禁止決定の実情
2 接見等禁止決定に対する準抗告
3 接見等禁止の一部解除の申立て
第2 勾留理由開示請求
1 制度とその目的
2 手続
第4章 事例
1 勾留請求前釈放の事例
2 勾留請求却下の事例
3 勾留決定への準抗告認容の事例
4 勾留延長決定への準抗告認容の事例
5 勾留取消請求の事例
第2部 資料編
第1 申立書等
1 勾留請求に関する意見書
2 勾留に対する準抗告申立書
3 勾留延長に対する準抗告申立書
4 特別抗告申立書
5 勾留取消請求書
6 接見等禁止に対する準抗告申立書
7 接見等禁止の一部解除申請書
第2 添付資料
1 示談書(窃盗)
2 示談書(迷惑防止条例違反)
3 被害届取下げ願い(共通)
4 身元引受書(共通)
5 上申書(母親作成, 迷惑防止条例違反)
6 反省文(公然わいせつ事件)
第3 勾留請求却下率の変遷